先日、犬と住まいる協会主催の11周年記念セミナーが開催されました。今回のテーマは「ペット共生住宅の今とこれからを考える」。住宅メーカー、獣医師、ドッグトレーナーなど、まさに「住まい」と「犬のプロ」が一堂に会し、愛犬家にとって気になる議論が交わされました!
「なんだか専門的で難しそう…」と思うかもしれませんが、ご安心ください。ここでは、私たちが愛犬ともっと快適に、長く幸せに暮らすためのヒントをギュッとまとめてご紹介します!
ご登壇いただいた専門家の方々
今回のセミナーには、旭化成ホームズから住宅と暮らしの専門家としてLONGLIFE総合研究所所長の河合氏と旭化成不動産レジデンスより獣医師資格を持つペット賃貸担当者の佐々木氏が登壇 。さらに、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を持ち、トレーニングの第一人者である鹿野正顕先生も加わり、多角的な視点から議論が交わされました 。

住まいの「ハード面」はどこまで進化している?
セミナーでは、旭化成ホームズの河合氏、旭化成不動産レジデンスの佐々木氏(獣医師)が、へーベルメゾンでのペット共生賃貸住宅「+わん+にゃん」の取り組みを紹介。さらに、ドッグトレーナーの鹿野先生(スタディ・ドッグ・スクール代表)から、より快適な住まいへの提言がありました。
🔹 傷・汚れに強い設備と利用頻度の高い工夫
ペット共生住宅と聞くと、足洗い場やリードフックが思い浮かびますが、実際に住む人が評価するのは、日常の小さなストレスを減らす工夫です。
- クロス見切り: 賃貸住宅の場合、壁の下部だけを張り替えられるようにする工夫(クロス見切り)は、退去時の費用負担を考えると、入居者にとって非常に魅力が高いそうです 。
- ペットスペース付き収納: 入居後に好評なのが、寝床やフード・トイレ置き場として使える収納スペース。脱臭効果のあるイオン発生器が付近天井に付いているので、さらに利便性が高まります 。
🔹 プロが考える「本当に欲しい」設備
鹿野先生からは、犬の習性を踏まえた、住宅設計への提言がありました。
- 「窓からの刺激」対策: 集合住宅で犬が吠える最大の原因は、窓の外からの音や動きです。防音性の高い窓や、犬の目線から外が見えにくい工夫など、窓付近の防音強化が、問題行動の改善に非常に有効だと指摘されました。
- 心理的な安心を生む「アルコーブ」: 玄関を出てすぐに共有通路だと、犬は警戒して吠えやすくなります。扉を出てすぐの場所に、準備を整えるための「ちょっとしたスペース(アルコーブ)」があることで、犬の心理的な安心につながります 。
安心の鍵は「ソフト面」のサポートと飼い主の意識
ハード面を整えるだけでなく、愛犬と人がハッピーに暮らすためには、「ソフト面」、つまり飼い主側の意識と、それをサポートする仕組みが不可欠です。
🔹 「犬のプロ」による安心のサポート体制
旭化成ホームズでは、トラブル防止と入居者の安心のため、以下のソフト面での取り組みを重要視しています 。
- 徹底したペット審査: 犬のしつけ状況やワクチン接種状況等を審査し、不合格者には入居をお断りすることもあるそうです。この審査体制が、入居者間のトラブルを防ぐ大きな要因となっています 。
- 獣医師スタッフによる支援: 獣医師資格を持つスタッフが在籍しており、入居者向けの無料相談室、出張トレーニング、イベントなどを企画・実施することで、入居後の生活をサポートしています 。
🔹 運動不足の解消と犬の習性の理解
鹿野先生は、「犬の問題行動の裏には、日頃の運動不足(欲求不満)が大きく影響していることが多い」と警鐘を鳴らしました。
- 散歩で歩くだけでは運動要求は満たされず、「遊ぶこと」が重要です 。
- 室内でも運動欲求を満たす**「遊び方」のコンテンツを増やすことや、雨の日や猛暑日でも使える屋内ドッグラン**の設置が理想的だと提言されました 。
- また、犬の習性を理解せず、「開放的だから」と窓際にケージを置くと、逆に警戒心が強くなり吠えにつながるなど、人間の価値観で判断しないことの重要性が語られました 。
家の中の快適さを「社会」全体へ広げる
ペット共生社会の実現には、企業、自治体、大学、そして私たち飼い主のみならずペットを飼っている人も飼っていない人も「共に(共)」取り組むことが大切だと、河合氏は強調しました 。
🔹 災害への備えを地域へ
「在宅避難が基本」となる愛犬との暮らしにおいて、災害対策は必須です 。
- 旭化成ホームズは、住まいを提供するだけでなく、「ペット防災ハンドブック」を配布し、災害に備える意識向上に努めています 。
- 自治体(神奈川県茅ヶ崎市)と連携し、地域の方々と共にペット防災イベントを開催するなど、家の中の知恵を地域へ広げる活動も行われています 。
🔹 住宅メーカーとアカデミアの連携
犬の習性を理解した正しい住まいづくりには、専門的な知見が必要です。
- 同社は、麻布大学に寄附講座を設立し、「ペット共生社会の実現に向けた社会活動」を共同で進めています 。
- 河合氏は、「住宅メーカーが建物を建てて終わりではなく、安心で豊かな暮らしを実現したい」という理念を掲げ、犬との生活支援(ソフト面)や社会活動を推進しています 。
みんながハッピーでなければ共生社会は実現しない
オーナーさん、入居者さん、ご近所さん、そしてワンちゃん・ネコちゃん。関わるみんながハッピーでないと、真の共生社会は実現しないという言葉が、今回のセミナーの大きなヒントとなりました 。
私たち飼い主ができるのは、「ハード」の進化を待つだけでなく、愛犬の習性を理解し、適切な運動やケアを行うという「ソフト」の部分で責任を果たすこと。プロの意見を参考に、愛犬との「ロングライフな暮らし」をより豊かにしていきましょう!

登壇者プロフィール
今回のセミナーにご登壇いただいた講師の方々の詳しいご紹介です。
鹿野 正顕 先生 スタディ・ドッグ・スクール代表/株式会社Animal Life Solutions 代表取締役社長。麻布大学介在動物研究室にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本発の博士号を取得。メディアにも出演多数、著作も多数いらっしゃいます 。
河合 慎一郎 氏 旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE総合研究所 所長。一級建築士であり、早稲田大学理工学術院の非常勤講師も務めていらっしゃいます。キャリアのスタートは住宅の設計で、現在は暮らし方の研究や事業開発・サービス開発の責任者を兼任されています 。
佐々木 亜子 氏 旭化成不動産レジデンス株式会社 営業推進部 ペット賃貸担当。獣医師資格をお持ちで、ペット共生賃貸住宅の管理や、入居者への専門的なサポートなどを担当されています 。
