庭での過ごしやすさは、犬にとって 「どんな地面を歩くか」 で大きく変わります。
そして結論から言うと、犬にやさしい床材を選ぶポイントは「温度」「硬さ」「足触り」「排水性」「清潔さ」の5つを整えること。
この5つがきちんとそろっていると、犬が自分から庭に出たがり、散歩や運動とは違うリフレッシュの時間が生まれます。
この記事では、庭づくりが初めての方でも迷わないよう、犬目線で考える床材選びの基本をわかりやすくまとめました。

犬にとって“歩きやすい床材”とは?
私たち人間は靴を履いているため気づきにくいですが、犬は肉球を通して温度・質感を直接感じています。
だからこそ、床材の違いは犬の快適性に大きく影響します。
- 夏に熱すぎる
- 冬に冷えすぎる
- 硬すぎて疲れる
- 足裏に当たる感触が痛い
- 水はけが悪くて汚れやすい
どれかひとつでも当てはまると、犬は庭でのびのび過ごすことができません。
逆に、犬に優しい床材が整っていれば、庭を「安心して過ごせる場所」だと感じてくれるようになります。
1. 天然芝は犬にとって快適?メリットと注意点
犬の庭といえば“芝生”を思い浮かべる方も多いと思います。
天然芝は、犬にとって最も自然で気持ちよい床材のひとつです。
天然芝のメリット
- 足へのクッション性が高く、走りやすい
- 夏でも熱くなりにくい
- 寝転んだり、匂いを嗅いだりと豊かな刺激が得られる
- 見た目が自然で心地いい
犬が芝生で寝そべる姿は多くの飼い主さんが憧れる光景ですよね。
天然芝の注意点
- 雑草対策や刈り込みに手間がかかる
- 水はけが悪いと湿気がたまりやすい
- 泥汚れがつきやすく、雨の日は庭に出しにくいことも
- 日陰の多い庭では育たない場合も
「自然な質感を大切にしたい」「毎日のメンテも楽しめる」 という方には最適の床材です。

2. 人工芝は犬に向いている?選び方のポイント
最近人気なのが人工芝。メンテナンス性が高く、犬との暮らしに向いた要素も多い素材です。
人工芝のメリット
- 年中きれいな緑を保てる
- 雑草が生えにくく、手入れが楽
- 水はけがよく、泥汚れになりにくい
- クッション性が高く、走りやすい
とくに雨上がりでもサッと乾く点は、室内への汚れ持ち込みを減らせる大きなメリットです。
人工芝の注意点
- 安価な人工芝は夏に熱くなりやすい
- 芝の長さや密度によって質感に差がある
- 経年劣化で硬くなる場合がある
犬と暮らす場合は、
- 芝丈20〜35mm
- 熱がこもりにくい耐熱タイプ
- 水はけの良い裏面構造
を目安に選ぶと快適です。
3. 砂利・ウッドチップはどう?犬向きかどうかを判断するポイント
自然素材が好きな方は、砂利やウッドチップを検討することもあると思います。

砂利の特徴
- 水はけがよく、雑草対策にもなる
- 音が出るので防犯性が高い
- 色や質感を選べる
ただし、
- 走ったときに足裏が痛い
- 転倒するとケガの原因になる
- 粒が小さいと誤飲のリスク
などの注意が必要。
犬がよく歩く場所には不向きな場合もあります。
ウッドチップの特徴
- 見た目が柔らかく自然な印象
- クッション性があり、足への負担が少ない
- 雑草対策にもなる
ただし、
- 経年で崩れたり飛散しやすい
- 噛み癖のある犬には注意
- 雨の日は湿ってニオイが残ることも
部分的なアクセントとして使うのが向いています。

4. コンクリート・タイルは使ってもいい?
全面をコンクリートやタイルにするのは犬向きではありませんが、うまく活用すれば便利です。
メリット
- 清潔に保ちやすい
- 掃除が楽
- 足洗い場や水回りに相性が良い
デメリット
- 夏の熱がこもりやすく、肉球に負担
- 冬は冷たすぎる
- すべりやすい素材もある
犬が長く過ごす場所には向きませんが、水場の周辺・人の動線部分のみ など部分利用が安心です。

5. 犬にとって理想の“床材の組み合わせ”は?
庭全体をひとつの素材で統一するより、複数の素材を組み合わせる方が、犬にとって快適で安全な庭になりやすい です。
● 例①:遊び中心の庭
- メイン:人工芝
- 補助:天然芝 or ウッドデッキ
- 汚れ対策:水場周りにタイル
→ 走りやすさ・メンテナンスのしやすさのバランスが良い
● 例②:リラックスできる庭
- メイン:天然芝
- 日向ぼっこ場所:ウッドデッキ
- 動線:小粒砂利(誤飲しない粒サイズ)
→ 犬が自然の感触を楽しめ、落ち着いた空間に
● 例③:高齢犬向けの庭
- メイン:人工芝(クッション性の高いもの)
- 段差:スロープや低いデッキで解消
- 汚れ対策:水場の周辺は滑りにくいタイル
→ 足腰への負担が少なく安心して歩ける

犬の性格・年齢で床材はどう変える?
床材選びは、犬の性格やライフステージでも変わります。
- 活発でよく走る子 → クッション性の高い人工芝
- のんびり屋で探索が好きな子 → 天然芝+植栽エリア
- 暑がりな子 → 熱を持ちにくい素材(芝・木材系)
- 高齢犬 → 転倒しにくく、衝撃を吸収する床材
「うちの子が庭でどう過ごしてほしいか」を出発点にすると、迷いにくくなります。
まとめ
犬が気持ちよく歩ける庭をつくるには、
温度・硬さ・足触り・排水性・清潔さ
この5つを基準にして床材を選ぶことが大切です。
天然芝・人工芝・ウッドデッキ・タイルなどを、庭の使い方や犬のタイプに合わせて組み合わせれば、犬が安心して過ごせる心地よい庭が整います。
次は、庭での快適さをさらに支える 「水場づくり・足洗い・暑さ対策」 について詳しく解説する記事に続きます。

