庭でのびのび過ごす時間は、犬にとって大切なリフレッシュタイムです。
しかしどれだけ素敵な庭でも、フェンスや門扉の安全性が不十分だと、脱走やケガのリスクが高まり、安心して過ごせる環境にはなりません。
結論から言うと、
犬用のフェンス・門扉を考える際のポイントは「高さ」「すき間」「材質」「構造」「動線」の5つを押さえること。
この5点を犬の性格・体格に合わせて整えるだけで、庭の安全性は大きく向上します。
この記事では、犬目線で考えるフェンス・門扉の選び方を、初めてでもわかりやすいように整理しています。
犬が“安全だと感じられる庭”とは?
犬にとっての安全は、人とは少し視点が違います。
- 「飛び越えられる高さのフェンス」
- 「鼻先が入るすき間」
- 「体がすり抜けられるゲート」
- 「勢いよく閉まる扉」
これらはすべて犬にとって危険の原因になります。
逆にいえば、犬の行動パターンを理解してフェンス・門扉を選べば、安全性はしっかり確保できるということです。
ここからは、犬の行動と性質を踏まえながら、ポイントをひとつずつ見ていきましょう。

1. 脱走を防ぐ「フェンスの高さ」とは?
まず最も重要なのは 高さ です。犬は意外とジャンプ力があり、特に若くて活発な子は、想像より高く跳ぶことがあります。
目安となる高さ
- 小型犬:120cm以上
→ プードル・チワワ・ポメラニアンなどでも、膝の高さ程度の障害物なら跳び越える子は多いです。 - 中型犬:150cm以上
→ 柴犬やビーグルは敏捷性が高く、助走をつけると高めのフェンスでも届くことがあります。 - 大型犬:180〜200cm程度
→ レトリーバーやシェパードなどは、大きな体でも跳躍力が高いため、余裕のある高さが必要。
フェンスを選ぶときは、犬種よりも「うちの子が普段どれくらい跳ぶか」「どれくらい身軽か」を基準に判断するのが確実です。
2. すき間と形状は“脱走ルート”になりやすい?
高さと同じくらい大切なのが すき間 と 形状 です。
犬は驚くほど器用に頭を突っ込み、身体が通れそうな場所を見つけます。
チェックすべきすき間
- フェンスと地面のすき間
- 縦格子・横格子の間隔
- ブロック塀とフェンスの継ぎ目
- 横板フェンスの段差
とくに 地面とのすき間は5〜7cm以下 が安全ライン。
鼻先だけでも入ると、強引に押し広げて脱走してしまう可能性があります。
横格子フェンスは注意
横に足場があると、犬が前足をかけてよじ登ってしまうことがあります。
活発な犬には 縦格子 または 目の細かいメッシュフェンス が安心です。

3. フェンスの材質は“犬のクセ”に合わせて選ぶ
材質は、耐久性だけでなく 犬の噛み癖・力の強さ によって向き不向きがあります。
アルミ・スチール
- 丈夫で耐久性が高い
- 風通しのあるデザインが多い
- 大型犬、多頭飼い向け
→ 力の強い犬にも安心。ただし金属音が気になりやすい子もいるため、音が出にくいタイプを選ぶと◎
木製フェンス
- 温かみのあるデザイン
- 匂い・質感が犬にとってなじみやすい
- 噛み癖のある子には不向き
→ メンテナンスは必要ですが、やわらかい印象が好きな犬も多い素材。
メッシュフェンス
- すき間が狭く、脱走しにくい
- 視界が抜けるので圧迫感がない
- 小型犬に人気
→ ただし軽量型は変形しやすいものもあるので、丈夫なタイプを選ぶことが大切。
4. 門扉(ゲート)は“開閉構造”が安全性を左右する
フェンスがしっかりしていても、門扉が犬の力で開いてしまえば意味がありません。
犬の門扉に必要なのは ロック機能 と 開閉方向。
ロックは「二段階」がおすすめ
- 親が簡単に開閉できる
- 犬が鼻先や体当たりで開けられない
- 風で動きにくい
マグネット+ラッチ、またはラッチ+鍵など、二重構造だと安心です。
外開きは“突進して脱走”の原因に
庭側から外へ開く門扉は、犬が体重をかけた瞬間に外側へ押し開けてしまうことがあります。
理想は 内開き(外から押して開けるタイプ)。
外へ逃げる動線を遮断しやすくなります。

5. 犬がフェンスを越えないための“環境づくり”
フェンスそのものだけでなく、周りの環境によっても安全性は変わります。
● そばに踏み台になるものを置かない
プランターやベンチ、物置などが近くにあると、犬が乗り越える足場になってしまいます。
● 視界の広さで興奮度が変わる
外がよく見えるフェンスは、通行人や犬を見て興奮しやすい子には不向き。
目隠しフェンスや植栽を併用すると、落ち着いて過ごしやすくなります。
● 風の通り道に注意
フェンスに風が当たって音が鳴ると、敏感な犬はストレスを感じやすいこともあります。
材質の厚みや構造をチェックしておくと安心です。
犬の性格で必要なフェンスは変わる
犬の安全対策は “犬種” だけでなく “性格” によっても必要な配慮が変わります。
- 探求心旺盛な子 → すき間ゼロ・視界を遮る
- ジャンプ力が高い子 → 高さを確保・横格子を避ける
- 臆病な子 → 外が見えすぎない安心感をつくる
- 力が強い子 → アルミやスチールで頑丈に
「うちの子は庭でどう動くか?」
これを出発点にすると、最適なフェンスが選びやすくなります。

まとめ
犬にとって安全なフェンス・門扉とは、
高さ・すき間・材質・構造・動線 の5つが整っているものです。
これらを犬の性格や行動パターンに合わせて調整すると、
「庭=安心して過ごせる場所」になり、毎日の暮らしの質が大きく変わります。
次は、フェンスと相性の良い“犬にやさしい床材”について、こちらで詳しく解説します。
庭全体を安全で心地よくつくるために、ぜひあわせてチェックしてみてください。

